本書で登場する人物たちをご紹介します。
江島 (えのしま)
物語の主人公。第1部開始時点では、20代半ばのプログラマー。間違っていると思ったらそのままにはできず、周囲に問題提起を行なう。しかし、なかなか周りとの温度感があわずモヤモヤしている。反面、振る舞いが生意気と思われることも多く、会社では少し浮いた存在。ある言葉を人から問いかけられて、その問いに答えられるようになりたくて、越境をし始める。
「今はまだです。これから、やっていきます。」
ウラット
新卒入社の女性プログラマー。タイ国籍。日本語は流暢。江島と蔵屋敷のプロダクト開発チームに加わる。真面目な性格で、むやみにサボりがちな七里とはよく衝突する。相手が年上で関係ない。カッとなると言いたいことが止まらなくなる。
「江島さん品質のこと、なめてますか!」
七里 (しちり)
江島より社歴は2年若いが、年齢は年上というプログラマー。とかくめんどくさがりで、他人に対しては逆張り的。ズケズケと何でも発言する物怖じしない性格。実は蔵屋敷にあこがれて、服装や髪型、喋り方をあわせているつもり。蔵屋敷や周りには一切気づかれていない。
「ウォーターフォールとの違いが、よくわからなかったのですけど」
蔵屋敷 (くらやしき)
江島が尊敬する先輩。カイゼンにストイックに取り組む。朴訥としていて、それが冷たい印象を相手に与える。しかし、彼を慕う人は多い。品質管理部を経て、テスト管理ツールを開発するプロダクト開発チームを結成する。
「これではプロジェクトを終えられない」
土橋 (どばし)
入社から品質管理部ひとすじ。チーム最年長の存在。江島と蔵屋敷のチームではプロダクトオーナーをつとめる。時にへそ曲がりな一面も見せるが、我慢強く真面目。チームメンバーからは、お父さんと呼ばれている。
「お前らプロダクトオーナーが遊んでいるとでも思っているのか?」
西方 (にしかた)
流しのスクラムマスター。個人事業主で、蔵屋敷と以前から仕事をしている間柄で、今回も招かれてプロダクト開発チームにやってくる。くだらない冗談が好きな関西人。
「えらい遅くなってすんませんな。」
石神 (いしがみ)
アジャイル開発の先達的存在。とっつきにくく、言葉も強い。しかし、その魂のこもった言葉に、魅了される人も少なくない。江島もその一人。
「それで、あなたは何をしている人なんですか?」
片瀬 (かたせ)
江島とは同じ年齢で、違う部署に所属している。好奇心旺盛で、「やってみたらなんとかなるだろう」というスタンスで、踏み込むことに躊躇しない。その分、執着もしない。江島の最初の仲間。
「これ、一緒に運用しません?」
由比 (ゆひ)
経験豊富なアーキテクト。正しくあるためには決して手を抜くことはなく、メンバーにも手厳しい。その分丁寧ではあるが、馴れ合いは断固拒否。温和な表情の奥にある瞳まで笑っているかは不明。
「目は開いていたようですけど、頭は眠っていたのでしょう。」
万福寺 (まんぷくじ)
仲間らからのあだ名は和尚。ベテランのRubyプログラマー。いつも冷静で紳士的。一方で、自分の思いを強く持っていて、頑固さに繋がるところもある。マイ日坂とコンビを組んで様々な現場を渡り歩くフリーランス。
「なぜ、開発チームに何の相談もされないんですか」
マイ日坂 (まいひさか)
幼少のころに渡米し、数年前日本に帰国してから、現在は万福寺とコンビを組む。天真爛漫、いかなる時もオーバーアクション。厳格なプログラマーの兄がいて、影響を受けてきたらしい。江島に興味津々。
「和尚と私が関わるプロジェクトはたいてい大変だからネ!」
浜須賀 (はますが)
まだ駆け出しで、修行中のプログラマー。かなり几帳面で、イレギュラーがおきるとすぐに顔が青くなる。一方で、コードに影響があることには敏感で、キーボードを持つととたんに性格が変わる。
「じゃあ、ナビゲーターの方は、とっとと何をすべきか言ってください」
砂子 (すなこ)
江島にとってはクライアントにあたり、付き合いは長く兄貴的存在になっている。他人を励まして物事を成し遂げようとするタイプだが言葉はやや乱暴。良いプロダクトをつくることに一途であるが、一途すぎて周りが見えていないこともある。
「江島くん、どう?できる?できない?」
袖ヶ浦 (そでがうら)
江島に立ち塞がったプロダクトオーナー。優秀だが、目的のためなら人を否定し無視することもいとわない。もし、江島が仲間と進むことを選ばなかったら、在り得たかもしれない、もう一つの世界を体現している。